目次
映画監督を目指した回り道
昭和49〜
東京都に生まれる
東京都に生まれる。中高生の頃はTHE BLUE HEARTSの最初のアルバム3枚を聴き倒し、「ダンス・ナンバー」の歌詞に「本当だよ、笑う奴がおかしいんだよ」と思ったという。作品づくりで影響を受けたものとして、今もこのバンドの曲を挙げる。
日本映画学校を卒業し、ドキュメンタリー制作会社へ
学生時代に演劇を始めたが、仲間の演技の才能に圧倒されて諦め、映画監督を目指して日本映画学校に進む。8期生として3年間演出を学び、1996年に卒業した。担任だった武田一成監督に「おまえ行ってこい」と送り出されたドキュメンタリー制作会社にそのまま採用される。以後、複数の制作会社やフリーの時期を含め、映像制作に携わった。
派遣で働きながら脚本を書き、東映の脚本採用で最終選考へ
即断を求められる監督の仕事も自分には不向きだと確信し、映像の仕事に携わる最後のよすがとして脚本を選ぶ。30歳を目前にドキュメンタリーの仕事を離れ、アルバイトや派遣で書く時間を作った。20代後半から応募したフジテレビヤングシナリオ大賞は三次止まりが一度きりで、あとは一次・二次止まり。2005年には東映の芸術職研修者の脚本採用で最終選考まで残っている。
本人憧れではなく、消去法で脚本家にたどり着きました。 出典
35歳のデビュー、実写化の脚本家として
平成22〜
月9『ラッキーセブン』に参加
受賞後の1年は仕事の糸口がつかめず、たまっていた有休でバイクの旅に出て九州まで回った。帰京後の2011年11月、翌2012年1月期の月9で新しい脚本家を探しているとプロデューサーから声がかかる。48時間で第1話のアバン(冒頭)を書く課題で、声をかけられたのは本人だけではなかった。採用され、本人の言う「デビュー作」となる『ラッキーセブン』に参加し、7月期には『主に泣いてます』も書いた。
本人これまでの中で最も大きな案件で、タイミングとしても最後のチャンスに思えた。これをモノにできなければ終わりだ。 出典
日曜劇場『空飛ぶ広報室』で連続ドラマ全話を初めて一人で執筆
先に脚本を書いた映画『図書館戦争』の仕事が評価され、同じ有川ひろ原作の日曜劇場を任される。連続ドラマの全話を一人で書くのも、TBSのドラマも初めてだった。原作最終章の東日本大震災のエピソード「あの日の松島」に向かう形で作られる。演出の土井裕泰とはこの作品で出会った。以後のテレビドラマは全て単独で執筆している。
映画『図書館戦争』の脚本を担当
有川ひろの人気小説シリーズを原作にした映画で、単独で脚本を担当。原作者の有川は「あれだけめちゃくちゃな話を、あの尺で過不足なく、しかも、あらすじでなくまとめる力って、すごいですよ」と評した。興行収入は17.2億円。
『図書館戦争』続編と『掟上今日子の備忘録』『俺物語!!』
10月は、TBSのドラマ『図書館戦争 BOOK OF MEMORIES』(5日)、映画『図書館戦争-THE LAST MISSION-』(10日公開)、日本テレビの連続ドラマ『掟上今日子の備忘録』、映画『俺物語!!』(31日公開)と、原作ものの脚本が重なった。
『重版出来!』で東京ドラマアウォード脚本賞
松田奈緒子の漫画が原作のTBS火曜ドラマで、『空飛ぶ広報室』に続いて土井裕泰と組んだ。当時の火曜ドラマ枠は女性主人公の恋愛ものという路線がまだ固まっておらず、恋愛要素のないお仕事ドラマになった。制作打ち上げのスピーチで土井は突然「TBSは野木さんに、オリジナルドラマを書かせるべきだ」と訴えた。同年11月、東京ドラマアウォード2016で本作は脚本賞を、土井は演出賞を受けた。
『逃げるは恥だが役に立つ』最終話は視聴率20.8%
海野つなみの漫画を原作に、新垣結衣と星野源が契約結婚しながら同居する森山みくりと津崎平匡を演じたTBSの火曜ドラマ。視聴率は初回の10.2%から一度も下がらず、最終話は20.8%でTBS火曜ドラマ枠の歴代最高を更新した。エンディングの「恋ダンス」も話題を呼ぶ。コンフィデンスアワード・ドラマ賞年間大賞2016では、『重版出来!』とあわせて脚本賞に選ばれた。原作者の海野は、漫画にないエピソードも自然に入れ込む脚本を「ほんと職人芸だな」と評している。
オリジナル作品を書く
平成30〜
オリジナルドラマ『アンナチュラル』
『逃げ恥』を書き終えた2016年12月末、TBSから人気作家の原作を打診されたが、土井に背中を押されたことを思い、文庫本を開かずに断る。数日後に届いた「女性主人公の法医学もの」というお題から、石原さとみ主演の金曜ドラマ『アンナチュラル』が生まれた。主題歌は米津玄師の「Lemon」。東京ドラマアウォード2018や放送文化基金賞で脚本賞を受け、本人は「アンナチュラルがなければMIU404も存在しない」と振り返る。
本人次はオリジナルをやったほうが良いんじゃないかと思うので、この話はお断りします 出典
『獣になれない私たち』『フェイクニュース』
日本テレビで10月10日から『獣になれない私たち』が放送され、20日と27日にはNHK総合で『フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話』が続いた。後者は、NHK記者出身のプロデューサー北野拓との最初の仕事。『獣になれない私たち』で黒木華が演じた朱里は、『さよならロビンソンクルーソー』の登場人物・美也がプロトタイプだという。
『獣になれない私たち』で向田邦子賞
3月に『アンナチュラル』で平成30年度芸術選奨文部科学大臣新人賞(放送部門)を受け、4月2日には『獣になれない私たち』で第37回向田邦子賞に決まった。笑顔の裏で心をすり減らして生きる主人公と、誰も信用していない公認会計士の男の「恋かもしれないラブストーリー」で、授賞理由は、これまでの筆力が「一味違うジャンルで発揮された」というもの。
『MIU404』をコロナ禍で全11話に組み直して放送
綾野剛と星野源が主演する、TBS金曜ドラマのオリジナル作品。新型コロナウイルスの感染拡大で撮影が中断し、放送開始も延期された。当初は全14話で、オリンピック開幕直前に最終回を迎える予定だった。キャストのスケジュール調整が難しいなか、一時は6話程度での終了も迫られたが、最終的に11話で調整される。ザテレビジョンドラマアカデミー賞では最優秀作品賞など4部門を制し、野木も脚本賞を受けた。
映画『罪の声』公開
塩田武士の小説が原作で、実在の未解決事件をモチーフに、犯人が現金の受け渡し指示に使った「子供の声」を軸にした物語。主演は小栗旬と星野源、監督は土井裕泰。原作の情報量を映画の尺に収める作業は難しく、12時間打ち合わせても何も決まらない日もあった。翌2021年3月19日には『罪の声』で第44回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受けた。
本人小説を読んで、引き受けたことを後悔したんですよ 出典
アニメ映画『犬王』
湯浅政明監督のアニメ映画で、原作は古川日出男の『平家物語 犬王の巻』。室町時代の能楽師・犬王(アヴちゃん)と盲目の琵琶法師・友魚(森山未來)の出会いを描く。もともと湯浅作品のファンで、他の人の脚本で作られたら「絶対に悔しいだろう」と思って引き受けた。
WOWOW『フェンス』で沖縄を描く
復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、性的暴行事件の真相を追うクライムサスペンス。松岡茉優と宮本エリアナがバディを組む。男女バディの捜査ものという最初の企画は『MIU404』の直後だったため一度断っている。偏りを避けるうちに取材先が増え、最終的に100人以上から話を聞いた。
『ラストマイル』から新しいジャンルへ
令和6〜
オリジナル映画『ラストマイル』
『アンナチュラル』『MIU404』で組んだ塚原あゆ子監督とのオリジナル映画で、満島ひかりが主演。2つのドラマと世界を共有するシェアード・ユニバース作品として話題を呼んだ。翌2025年1月に発表された第48回日本アカデミー賞の優秀賞では優秀作品賞など10部門に選ばれ、野木は『カラオケ行こ!』とあわせて2作で優秀脚本賞に入る。3月14日の授賞式で最優秀脚本賞を受けた。
本人4年前に受賞したとき、今度はオリジナルで戻って来たいと話しました。無事に戻って来ることができました! 出典
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
神木隆之介が、1950年代の長崎県・端島(軍艦島)に生きる鉄平と、現代の東京のホスト玲央を演じる日曜劇場。脚本・野木、監督・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子という『アンナチュラル』のチームで作られた。軍艦島には、ヤングシナリオ大賞受賞後の旅でも立ち寄っている。
新春ドラマ『スロウトレイン』
松たか子、多部未華子、松坂桃李が3きょうだいを演じたTBSの新春スペシャルドラマで、演出は土井裕泰。この年は、第92回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部の課題曲「惑星そぞろ」の作詞も手がけた。
テレビ朝日『ちょっとだけエスパー』で初のSF
テレビ朝日の連続ドラマに初めて書いた完全オリジナル作品で、本人にとって初のSF。大泉洋が主演する。会社を辞めさせられた主人公・文太が“ちょっとだけエスパー”になり、世界を救うかもしれないという物語で、企画はその4年前の夏にプロデューサーと立ち上げていた。12月16日まで放送。
本人SFは元々好きで、10年くらい書きたいと言い続けていました。 出典
フジテレビ『ポリティカルパン』放送開始
石原さとみが主演するオリジナルドラマで、『アンナチュラル』以来約8年ぶりの顔合わせ。架空の国・ニッポニアを舞台に、石原は政治の金を狙う大泥棒・如月弥生を演じる。『フェイクニュース』『フェンス』を共に作った北野拓プロデューサーがフジテレビに移ったため、14年ぶりにフジテレビで書いた。
本人どこの局だろうとやることは同じで、北野Pは相変わらず無理難題をいうし、資料を山ほど読まされるし、取材の鬼だしで大変です。 出典
テレビアニメ『LONA』を準備中
原案・脚本を務めるWIT STUDIO制作のオリジナルテレビアニメ『LONA』が、2027年春に放送されると発表された。死者の想いに触れる研究者たちを描く脳科学アドベンチャーで、理化学研究所の大型放射光施設SPring-8が舞台のモデル。