目次
金八先生でデビュー、「普段のまま」の演技へ
昭和48〜
佐藤家の次男として生まれる
本名は佐藤忠信。神奈川県横浜市出身。母方の祖父は戦後に日本へ駐留した米陸軍の料理兵で、配属先の横浜で祖母と出会った北欧系アメリカ人だった。小学生の頃から兄と空手道場に通い、中学からはパンクロックのバンドを組んで元町や本牧のライブハウスを回った。
本人戦争映画を観たり、自分が戦争映画に参加したりする時、この戦争がなかったとしたら、果たして僕は存在していたのだろうかと考えてしまいます。 出典
『3年B組金八先生』第3シリーズでデビュー
中学3年のとき、父に勧められて受けたオーディションに合格し、10月に始まったTBS『3年B組金八先生』第3シリーズに本名の佐藤忠信で出演した。演じたのは東正広。初めての演技だったが、このときは何も考えていなかったと振り返っている。
『バタアシ金魚』で映画デビュー、芸名を浅野に
原作が大好きだったという『バタアシ金魚』で、脇役のウシを演じて映画に初めて出た。芸名の「浅野」は母親の旧姓。大人たちが徹夜や喧嘩を重ねながら目標に向かう映画の現場を信用できると感じ、高校生になると「映画でだけなら仕事をしてもいい」と考えるようになる。
『あいつ』の頃、父と衝突して「普段のまま」の演技に行き着く
映画『あいつ』で岩田貞人を演じた頃には、演技をやめてバンドをやりたいと考え、事務所の社長だった父とよく喧嘩した。父は演技を続けるよう求めた。オーディションで皆が急に不自然な抑揚で話し出すのを恥ずかしく感じていたこともあり、普通にしゃべることを意識するようになる。18歳になると、バンドと両立して俳優を続けると決めた。
本人じゃあやりたくないことを、恥をかかないようにやるにはどうすればいいのかと考えて、普段のままいればいいんだと思ったんですよね。 出典
岩井俊二の『FRIED DRAGON FISH』に主演
フジテレビで放送されたドラマで、芳本美代子とともに主演し、ナツロウを演じる。演出は岩井俊二で、脚本は歌手CHARAのために書かれたものだった。
『PiCNiC』で共演したCHARAと結婚
岩井俊二監督の映画『PiCNiC』で共演した、6歳年上の歌手CHARAと結婚した。『PiCNiC』は1994年に製作され、公開は1996年。この年の7月に長女SUMIREが生まれ、21歳で父になった。この年は映画『幻の光』にも郁夫役で出ている。
主演が続き、ヴェネツィアの男優賞
平成8〜
青山真治の『Helpless』で映画初主演
青山真治の劇場映画監督デビュー作『Helpless』で、映画で初めて主演し、白石健次を演じた。のちに『EUREKA』『サッド ヴァケイション』と続く「北九州サーガ」の第1作にあたる。本人は、自分を面白いと感じた人たちに使われるうちに、次第に主な役が回ってきたと振り返る。
『地雷を踏んだらサヨウナラ』で一ノ瀬泰造を演じる
報道写真家の一ノ瀬泰造を主演で演じ、役作りでは一ノ瀬の著書や記事を読み、カメラも練習した。同じ年の映画『御法度』では共演した松田龍平と意気投合し、以後も交友が続いている。この年、ボーカルやギターを務めるバンドSAFARIを結成し、のちにフジロックフェスティバルにも何度か出た。
『風花』で相米慎二と組み、『殺し屋1』に主演
監督に言われるまま演じるうちに、芝居に諦めのようなものが混じり始めていた時期があった。相米慎二監督の『風花』への出演で諦めが払われたとされる。同じ年の『殺し屋1』では大森南朋とともに主演し、垣原を演じた。海外の作り手の多くがこの作品を見ているという。
『地球で最後のふたり』でヴェネツィア国際映画祭の主演男優賞
タイと日本などの合作映画『地球で最後のふたり』(ペンエーグ・ラッタナルアーン監督)で、ヴェネツィア国際映画祭のコントロコレンテ部門の主演男優賞を受けた。タイを舞台に、自殺願望のある日本人男性ケンジ(浅野)が奔放なタイ人女性と出会い、少しずつ距離を縮めていく。この年は映画『座頭市』にも服部源之助役で出ている。
初監督作『トーリ』を発表
ドキュメンタリーやアニメーションを織り込んだ5話のオムニバス。高校生の頃に観たボブ・マーリーのドキュメンタリー映画で、葬儀の場面に鳥が飛んでいく姿から受けた影響がもとになった。3月にDVDで出し、5月に渋谷で劇場公開した。
『モンゴル』から『マイティ・ソー』へ、海外の作品に
平成20〜
主演作『モンゴル』がアカデミー賞外国語映画賞の候補に
ロシアのセルゲイ・ボドロフ監督の『モンゴル』で、のちのチンギス・ハーンとなるテムジンを演じた。モンゴル語はCDを聴き続けて覚え、乗馬も猛練習した。監督は『座頭市』『御法度』『殺し屋1』で浅野を知り、会ってみて自分のチンギス・ハーンは浅野しかいないと思ったと語っている。第80回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたが、賞は『ヒトラーの贋札』に渡った。
CHARAとの協議離婚を発表
CHARAとそれぞれのホームページで協議離婚を発表した。連名のコメントで、これからも尊重し合うために別々の道を歩くことにしたと説明している。結婚生活はおよそ14年。この年は『劒岳 点の記』で柴崎芳太郎、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で大谷穣治を演じ、どちらも主演だった。
『マイティ・ソー』でハリウッド映画に初出演
マーベル・スタジオの『マイティ・ソー』で、主人公ソー(クリス・ヘムズワース)の仲間ホーガンを演じ、初めてハリウッド映画に出た。日本語吹き替えも自ら担当し、ホーガン役では続く『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー バトルロイヤル』にも出ている。本人はアメリカで仕事ができたことを「俳優人生において大きな1歩」と語り、そこで得たのは自分で考えることだったという。
40代の再出発、モスクワとカンヌ
平成26〜
『私の男』でモスクワ国際映画祭の最優秀男優賞
桜庭一樹の小説を熊切和嘉監督が映画化した『私の男』で、二階堂ふみとともに主演し、家族を失った少女・花を引き取る遠縁の男・淳悟を演じた。6月に公開され、第36回モスクワ国際映画祭で作品賞と男優賞の2つの最優秀賞を受けた。日本の俳優の男優賞は加藤嘉以来31年ぶり2人目。受賞会見では、30代は模索する時期が長く続いたと話した。
本人40代を迎えて再スタートを切りたいと思っていた。若い時には表現できなかった奥行きを持った役を演じたかった 出典
主演作『淵に立つ』がカンヌ「ある視点」部門の審査員賞
深田晃司監督の『淵に立つ』では、ある家族のもとに突然現れる、夫の旧知で前科のある男・八坂を演じる。作品は第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受けた。前年には黒沢清が主演作『岸辺の旅』で同じ部門の監督賞を受けており、主演作が2年続けて同部門で賞を得た。この年は『沈黙 -サイレンス-』にも通辞役で出演した。
ドローイングの個展をワタリウム美術館で開く
2014年ごろから撮影の待ち時間などに描きためてきたドローイング(線画)を集め、ワタリウム美術館で個展「TADANOBU ASANO 3634 浅野忠信展」を開いた。SNSで公開していたデッサンや落書き、漫画など700点を並べた。
アメリカ映画『ミッドウェイ』に山口多聞役で出演
ローランド・エメリッヒ監督のアメリカ映画『ミッドウェイ』で、山本五十六(豊川悦司)の部下・山口多聞少将を演じた。同じ年の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では川島正次郎役。
朝ドラ『おかえりモネ』で漁師の及川新次を演じる
5月17日に始まった連続テレビ小説『おかえりモネ』で、腕の良さで評判だった漁師・及川新次を演じる。同じ年はアメリカ映画『モータルコンバット』でライデンを演じ、ジョニー・デップと共演した『MINAMATA-ミナマタ-』にも出た。この年の末で事務所アノレとの専属契約を終え、以前からの個人会社DOMOIZUで活動を続ける。
中田クルミとの結婚を発表
18歳年下の女優・モデルの中田クルミとの結婚を、それぞれのSNSで発表した。4日後の8月27日には、日本テレビ『24時間テレビ』のスペシャルドラマ『無言館』で主演し、窪島誠一郎を演じた。
樫木藪重を演じ、ゴールデングローブ賞を受ける
令和6〜
『SHOGUN 将軍』で樫木藪重を演じる
真田広之が主演とプロデュースを務め、ディズニー傘下のFXが製作した連続ドラマ『SHOGUN 将軍』が配信を始めた。演じたのは、真田の吉井虎永の家臣で、出世のためなら手段を選ばない樫木藪重。最初から藪重役での依頼だった。英語で演じるハリウッド作品には限界を感じ、日本語の台詞でアメリカ資本の作品を作れればと考えていたところだったという。ハリウッド進出から13年目の大きな転機と報じられ、同じ年の第76回エミー賞で助演男優賞にノミネートされた。
本人『マイティ・ソー』で味わった経験が、今回の『SHOGUN 将軍』の出演につながったといっても過言ではありません 出典
ゴールデングローブ賞の助演男優賞を受ける
現地時間5日にロサンゼルスで開かれた第82回ゴールデングローブ賞で、テレビドラマ部門の助演男優賞を受けた。日本人では初めてで、『SHOGUN 将軍』はノミネートされた4つの賞をすべて取った。前年9月のエミー賞では受賞を逃し、ずっとふてくされていたと明かしている。成人の日の13日に開いた凱旋会見では、信じてきた演技を怖がらずに続けていいという確証を得られたと語り、新成人にも言葉を贈った。
本人何にもなかった僕がここまでこられたので、皆さん大丈夫です。 出典
マーク・ギル監督の『レイブンズ』に主演
イギリス人のマーク・ギル監督から写真家・深瀬昌久の役を依頼され、主演した『レイブンズ』が公開された。深瀬と、その妻で被写体だった洋子(瀧内公美)の物語を、実話とフィクションを交えて描く。本人は、近年の日本では自分を主役に使う映画がほとんど無かったと話し、海外の監督に主人公で起用されたことを喜んだ。同じ年はAmazon Prime Videoの配信映画『Broken Rage』にも井上役で出ている。
本人どうしても主役で映画をやりたいということではなく、主役でしか表現できないことがあるんです。 出典
『すべて真夜中の恋人たち』がカンヌ「ある視点」部門で上映
川上未映子の小説を岨手由貴子監督が映画化した作品で、第79回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でワールドプレミア上映された。人との関わりを拒んできた校閲者・入江冬子(岸井ゆきの)が、年上の物理教師・三束(浅野)と出会う物語。上映には監督、岸井とともに出席した。日本では2026年11月13日に公開予定。
続編『モータルコンバット/ネクストラウンド』が日本公開
2021年の『モータルコンバット』の続編が日本で公開され、雷神ライデンを再び演じた。初日にはTOHOシネマズ六本木ヒルズの舞台挨拶に立った。