目次
医者の家から、原宿のバイクチームへ
昭和25〜
愛知県名古屋市に生まれる
名古屋市中区老松町の生まれで、本名は舘廣(読みは芸名と同じ)。2男1女の長男で、父は内科医。愛知県庁の土木技師だった祖父が英国文化を好み、家には牛乳紅茶を飲む「ティータイム」があった。
二浪して千葉工業大学に入学し、原宿でバイクチームを結成
愛知県立千種高校ではラグビー部の主将。医者を志したが医大の試験に落ち、絵が好きだったことから建築家を目指して、二浪の末に千葉工業大学へ入る。在学中に映画『ワイルド・エンジェル』を見てバイクに憧れ、革ジャンにサングラスで大型バイクに乗り、原宿でオートバイチーム「クールス」を結成。それが芸能関係者の目に留まった。
クールスのボーカルから、東映の銀幕へ
昭和50〜
ロックバンド「クールス」のボーカルとしてデビュー
岩城滉一とともに原宿・表参道のバイクチーム「クールス」を束ね、矢沢永吉率いる「キャロル」の親衛隊として知られていた。4月、チームの選抜メンバーで結成した同名のロックバンドのボーカルとして、矢沢作曲の『紫のハイウェイ』でレコードデビュー。当時の東映社長・岡田茂に誘われて東映に籍を置き、俳優の仕事もここから始まる。
『暴力教室』で銀幕デビュー、『男組 少年刑務所』で映画初主演
映画『暴力教室』で、バイクを乗り回す不良生徒を演じて俳優デビュー。主演で教師役の松田優作と殴り合う場面で鮮烈な印象を残し、舘の演技を高く評価した岡田茂が自ら売り出しを指示した。同じ年の『男組 少年刑務所』で映画初主演を果たす。
『皮ジャン反抗族』に主演、『野性の証明』に出演
長谷部安春監督の東映映画『皮ジャン反抗族』に主演。この作品で舘を起用したのが、のちに『あぶない刑事』などを手がけるプロデューサーの黒澤満で、以後は恩師となる。10月7日公開の角川映画『野性の証明』では、三國連太郎演じる地方の大物の息子役。本人の趣味でもあったオートバイに乗る姿が、この頃のトレードマークだった。
— 『西部警察』でテレビドラマに初出演
テレビ朝日『西部警察』に、ハーレーダビッドソンを乗り回す巽総太郎(たつみ そうたろう、愛称タツ)役で出演。初めてのテレビドラマで、ここで渡哲也と出会う。本人はこの出会いを、俳優人生の岐路の1つに挙げている。オープニングではオートバイに乗り、両手を離して拳銃を撃つ姿で登場した。番組初回から半年の契約だったため、第30話で西部署最初の殉職刑事となり、いったん降板した。
本人『このカットはひろし、お前すごいセクシーだ』と渡さんが言いまして。それがすごく自分の中でうれしかったのを覚えています 出典
石原プロへ、そしてタカとユージ
昭和58〜
石原プロモーションに入社
その後『西部警察』に、巽とは別人の鳩村英次(ハト)役で改めてレギュラー出演する。撮影中に専務の小林正彦から入社を誘われ、渡哲也に相談したうえで2月8日に入社。入社のきっかけは社長の石原裕次郎ではなく、渡への憧れだった。『西部警察 PART-III』の最終回まで出演を続ける。
自作の『泣かないで』で紅白歌合戦に初出場
8月1日に出したシングル『泣かないで』は、舘自身の作曲。この曲がヒットし、同年大晦日の第35回NHK紅白歌合戦に初出場した。
— 『あぶない刑事』で鷹山敏樹を演じる
日本テレビの連続ドラマ『あぶない刑事』が10月5日に始まる。36歳の舘が演じる鷹山敏樹(タカ)と、柴田恭兵の大下勇次(ユージ)のコンビがヨコハマの街で事件を追う。クールな刑事役で大ブレイクし、「セクシー大下、ダンディー鷹山」の呼び名は現場でのアドリブがそのまま定着したものだという。翌1987年からは劇場版が作られ、テレビシリーズは1989年3月まで続いた。
本人僕は『あぶない刑事』というタイトルが好きじゃなかった。『危険な刑事』にしたかったけれど、『これでやる』と。結果的には良かったです 出典
『刑事貴族』『代表取締役刑事』と刑事役が続く
前年4月からの『ゴリラ・警視庁捜査第8班』(伊達健役)に続き、4月から『刑事貴族』で牧俊介、10月からは『代表取締役刑事』で係長の兵頭真を演じる。
刑事の外へ、コメディと時代劇
平成6〜
映画『免許がない!』で南条弘を演じる
東宝のコメディ映画『免許がない!』で、免許を取るまでのいくつもの関門を乗り越えていく南条弘を演じる。所属事務所の略歴は、アクションに限らずコメディからラブロマンス、シリアスな役まで演じた出演作の最初に、この映画を挙げている。
『あぶない刑事フォーエヴァー』がテレビと映画で
8月28日にテレビスペシャル、9月12日に映画『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』が、前後編の形で公開された。劇場版は1996年の『あぶない刑事リターンズ』に続く作品。
『太陽にほえろ!2001』に七曲署の係長・山岡英介役で出演
1997年の『七曲署捜査一係』から演じてきた係長・山岡英介として、2月8日放送の『太陽にほえろ!2001』に出演。3月には、1995年から演じたNHK『新宿鮫』シリーズの刑事・鮫島を『新宿鮫~氷舞』で再び演じた。
— 『パパとムスメの7日間』で娘と体が入れ替わる父親に
7月1日に始まったTBSの連続ドラマ『パパとムスメの7日間』で、新垣結衣演じる娘と体が入れ替わる父親・川原恭一郎を演じた。脚本は石原プロに届き、専務の小林正彦は「やらないだろうが、一応見ておけ」と渡したが、舘は読んで面白いと思った。放送を見た舘の父親は「ひろしは情けないことやってるな」とテレビを消したという。本人は、ずっとハードボイルドばかりやってきた中でこの作品をやる勇気があったことを、渡哲也との出会い、『あぶない刑事』と並ぶ俳優人生の岐路に挙げている。
本人あの作品のおかげで今の僕がある 出典
裕次郎を歌い、『終わった人』で受賞
平成23〜
石原裕次郎のカバーアルバムで日本レコード大賞企画賞
9月26日、石原裕次郎の名曲10曲を歌うカバーアルバム『HIROSHI TACHI sings YUJIRO』を発表し、第54回日本レコード大賞の企画賞を受ける。10月からは連続テレビ小説『純と愛』で大先真一郎を演じた。大晦日には28年ぶり2回目の紅白歌合戦に出場し、裕次郎の過去の映像と共演する形で『嵐を呼ぶ男』を歌った。
ラグビーW杯中継の応援団長、音楽活動40周年のアルバム
高校時代のラグビー部員の経歴にちなみ、9〜10月の日本テレビのラグビーワールドカップ2015イングランド大会中継で、日本代表応援団長を務める。12月には音楽活動40周年記念アルバム『ANTHOLOGY』を出した。
『さらば あぶない刑事』公開
前作から約10年ぶりの劇場版『さらば あぶない刑事』が1月30日に公開された。定年退職まであと5日となったタカとユージが中南米マフィアと戦う物語で、興行収入は16億2500万円。主題歌は舘が歌う『冷たい太陽 Final Version』。9月にはNHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』で中根重一を演じた。
— 『終わった人』でモントリオール世界映画祭最優秀男優賞
古巣・東映の黒澤満プロデューサーに薦められて主演した『終わった人』で、定年を迎えたエリートサラリーマンを演じる。現地時間9月3日の第42回モントリオール世界映画祭で最優秀男優賞を受けた。同映画祭の最優秀男優賞は、1999年に高倉健が『鉄道員』で受けている。9月20日には、ラグビーワールドカップ2019日本大会のPRキャプテンに任命されている。黒澤にとってはこれが最後の仕事となり、舘は黒澤の死後に賞状を持って自宅を訪ねた。翌2019年には同じ作品で第61回ブルーリボン賞主演男優賞と第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受けた。
『アルキメデスの大戦』で山本五十六を演じる
東宝の映画『アルキメデスの大戦』で山本五十六を演じる。所属事務所の略歴は、島村速雄を演じたNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』、『夏目漱石の妻』とともに“明治の男”の精神性と悲哀を演じた作品として挙げている。9〜10月は、日本テレビのラグビーワールドカップ中継で再び日本代表応援団長を務めた。
石原プロが俳優マネジメントの終了を発表
石原プロが翌年1月で俳優のマネジメントを終えると発表すると、舘は「渡次第だと思います」と、今後を渡哲也と話し合う考えを示した。その渡は8月に78歳で亡くなる。
旭日小綬章を受章
11月3日付で発表された秋の叙勲で旭日小綬章を受け、2013年に同じ勲章を受けていた渡哲也の名を挙げてコメントを出した。
本人先ごろまで、その背中を追いかけて参りました、渡(哲也さん)と同じ勲章を頂いたことを糧に、これからも精進を重ねる所存です 出典
舘プロを立ち上げ、映画をつくる側へ
令和3〜
— 石原プロ解散を経て、舘プロを設立
1月16日に石原プロモーションが解散。3月17日に新しい芸能事務所「舘プロ」の設立を発表し、4月1日から舘プロの所属俳優として活動を始めた。その間の3月22日には、千葉工業大学の特別卒業認定制度で、入学から51年を経て卒業証書を受けている。舘プロはのちに、主演作『港のひかり』の製作委員会に名を連ね、『免許返納!?』では企画を担うなど、映画製作に加わっていく。
NHK BS『あきない世傳 金と銀』で治兵衛を演じる
12月8日に始まったNHK BSの時代劇『あきない世傳 金と銀』で治兵衛を演じる。2025年の第2シリーズ、2026年の第3シリーズでも同じ役を続けた。
『帰ってきた あぶない刑事』が前作の興行収入を超える
約8年ぶりのシリーズ新作で、原廣利監督の『帰ってきた あぶない刑事』が5月24日に公開。翌日には柴田恭兵と横浜スタジアムでセレモニアルピッチを務めた。公開74日目の8月5日までに興行収入16億2700万円、観客動員119万人となり、前作『さらば あぶない刑事』の16億2500万円を上回った。この年は映画『ゴールデンカムイ』で土方歳三も演じている。
本人この前作『さらば』超えという成績は、皆さんの温かい応援あっての素晴らしい結果です。 出典
『港のひかり』に主演
『ヤクザと家族 The Family』の藤井道人監督と組み、11月14日公開の『港のひかり』に主演。元ヤクザの男と、両親を事故で失い視力も失った少年との十数年の友情を描く。舘は企画段階から参加し、故・渡哲也の面影を宿すような、無償で自らの人生をささげる愚直な男を演じたいと監督に直談判した。撮影は木村大作で、全編をフィルムで撮っている。
本人“強い男”とは何かを考えたとき、石原裕次郎さんや渡哲也さんの生き様が頭をよぎりました 出典
『免許返納!?』に主演
6月19日公開の『免許返納!?』(河合勇人監督)に主演し、1994年の『免許がない!』と同じ名前の映画スター・南条弘を演じる。車やバイクのアクションを続けたい南条が、周囲から免許返納を期待されて追い込まれる喜劇。ハーレーダビッドソンで敵と決闘する場面は、舘が脚本を変え、刀からショットガンに替えた。デビュー50周年の年で、舘プロの後輩・黒川想矢とは映画で初めて共演した。
本人映画製作に関しては、亡くなった石原裕次郎さん、渡哲也さん、石原プロの小林正彦元専務、みんなの夢でしたし、いまはそれを僕が背負っているんだと思うんです。 出典
『あぶない刑事』40周年、『バッド・ルーテナント:トウキョウ』
テレビ放送開始から40年の10月5日、横浜赤レンガ倉庫で開かれた40周年プロジェクトのキックオフイベントに予告なしで現れた。夜の第1話上映会では、近藤課長を演じた中条静夫の33回忌にあたる日として名前を挙げた。10月23日に公開された三池崇史監督『バッド・ルーテナント:トウキョウ』にも出演している。『あきない世傳 金と銀』の完結編は2027年1月1日に放送予定。
本人40年も経ったかなという、本当に年を取ったなという気がします 出典