生い立ちとゲーム会社時代
昭和48〜
長野県南佐久郡小海町に生まれる
本名・新津誠。実家は1909年創業の建設会社(ゼネコン)を代々営む新津組で、3代目の父が社長を務めていた。母も絵を描く人で、県の美術展に入選したこともある。本好きだった母の書棚の影響でSFや宇宙関連の本に親しんで育った。長野県立野沢北高校を経て中央大学文学部文学科国文学専攻に進学した。
本人じつは僕自身、空や雲を見るのが大好きな子どもでした。僕の出身は、長野県小海町。周囲に八ヶ岳や浅間山があったおかげで気流は複雑、風も強く雨もたくさん降るような土地で育ちました。 出典
中央大学卒業、日本ファルコムに就職
大学在学中からアルバイトをしていたゲーム会社・日本ファルコムに、大学卒業後そのまま就職。4代目として家業を継ぐため父の紹介で都内の住宅メーカーに勤める予定だったが、これを断りゲーム業界に進んだ。『英雄伝説』シリーズや『イースIIエターナル』などのオープニングムービー制作を手がけた。
自主制作からコミックス・ウェーブへ
平成12〜
『彼女と彼女の猫』を独りで制作
日本ファルコムに勤めながら、脚本・作画・演出をほぼ独りで手がけた5分弱の短編モノクロアニメを制作。第12回CGアニメコンテストでグランプリを受賞し、後の作風につながる自主制作の原点となった。
日本ファルコムを退社
アニメーション制作に専念するためゲーム会社を退社。フルデジタルの短編自主制作アニメ『ほしのこえ』の制作に取りかかる。
— 『ほしのこえ』公開、独りで作り上げた25分作品が反響を呼ぶ
監督・脚本・作画・美術・編集のほとんどを独りで手がけた25分のフルデジタルアニメが、下北沢のミニシアターで公開。新世紀東京国際アニメフェア21公募部門優秀賞など多数の賞を受けて大きな反響を呼び、これを機に新海誠の名は広く知られるようになった。DVD売上は2003年8月時点で6万本以上を記録し、以後はコミックス・ウェーブに所属して制作を続けることになった。
初の長編映画『雲のむこう、約束の場所』公開
コミックス・ウェーブ制作となって初めての長編劇場アニメ。原作・脚本・監督から美術・編集まで幅広くを担当した。パイロット版は前年の東京国際アニメフェアで表現技術賞を受賞していた。
『秒速5センチメートル』公開
すれ違ったまま離れていく男女を3話構成で描いた作品。国内外で高く評価され、新海作品の代名詞となる「距離」というテーマを決定づけた一本になった。同年、旧コミックス・ウェーブのマーチャンダイジング事業部がMBOで独立し、社名がコミックス・ウェーブ・フィルムに変わった(本作からクレジットも同社名になった)。
『星を追う子ども』公開
宮崎駿作品を思わせるファンタジー色の強い長編。従来の現代日本を舞台にした作風から大きく踏み出した挑戦作となった。
『君の名は。』で国民的監督へ
平成25〜
『言の葉の庭』公開、東宝配給に
雨の日の東屋で出会う男女を描いた46分の中編。本作から東宝映像事業部が配給に加わり、アニメーション神戸賞を受賞した。
— 『君の名は。』公開、社会現象的な大ヒットに
8月26日公開。入れ替わる男女が時空を超えて結びつく物語は日本国内興行収入250.3億円を記録し、国内歴代興収でも上位に入る大ヒットとなった。本作の成功により、新海誠は一躍国民的な知名度を得るアニメ監督となった。
本人確かに、僕たちはきっと誰もズルをしなかったんです。 出典
— 第40回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞、アニメ史上初の快挙
『君の名は。』が第40回日本アカデミー賞でアニメーション作品として史上初めて最優秀脚本賞に輝き、最優秀音楽賞(受賞者はRADWIMPS)とあわせて2冠を達成した。アニメ映画がこの部門で評価される先例をつくり、新海の作家性が広く認知される契機となった。
災害三部作の完結、そして国際的評価
令和1〜
— 『天気の子』公開、興収142.3億円
7月19日公開、『君の名は。』から3年ぶりの長編。異常気象を背景に運命に翻弄される若者を描き、公開34日で興行収入100億円を突破。自ら執筆した『小説 天気の子』も相次ぐ重版で65万部を突破し、年間ベストセラー文庫本の1位となった。後に2020年の第43回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。『君の名は。』に続く連続ヒットとなり、新海が単発ではなく安定して興収100億円超えを生み出せる国民的監督であることを証明した。
本人天気は、地球のどこにも存在していて、誰もが自分のこととして共感できるテーマです。多くの人が1日に一度は天気のことを考えるだろうし、天気のことを口にするはず。 出典
アカデミー国際長編映画賞、日本代表に選出
『天気の子』が第92回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品に決定。アニメ作品としては1998年度の『もののけ姫』以来の選出となった。
娘・新津ちせ主演の実写映画『駅までの道をおしえて』公開
妻は女優の三坂知絵子。娘の新津ちせが子役として初めて実写映画で主演を務めた『駅までの道をおしえて』が10月18日に公開。同年8月22日のヒット祈願イベントで、ちせは「お父さんも(幼少期に)犬を飼っていたことがあって、それを思い出して泣いちゃったって言っていました」と父の様子を明かした。
— 『すずめの戸締まり』公開、3作連続で興収100億円突破
11月11日公開。各地の災厄の記憶と向き合う旅を描いた作品で、公開87日で観客動員1000万人を突破。2023年5月の公開終了時点での興行収入は147.9億円で当時の国内歴代14位(2026年8月時点の興行収入は149.4億円)。『君の名は。』『天気の子』に続いて3作連続で興収100億円を超える快挙を達成した。震災を念頭に置いた『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』は「災害三部作」と呼ばれている。
本人東日本大震災から10年以上が経過して、どんどん震災が我々の共通体験ではなくなってきていると思うんです。僕の娘は震災の前年に生まれていて、彼女にとってあの震災はもう“教科書の中の出来事”なんですよね。 出典
芸術選奨文部科学大臣賞を受賞
『すずめの戸締まり』により第73回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。作品はVFX-JAPANアワードでも劇場公開アニメーション映画部門最優秀賞に選ばれた。
実写化ヒットと新作準備
令和7〜
実写映画『秒速5センチメートル』公開、大ヒットに
10月10日公開。松村北斗主演、奥山由之監督で2007年の自作アニメを実写化した作品が大ヒット公開となり、興行収入は23億円を突破した。公開を記念して地上波で新海作品が3週連続放送されるなど、原作者としても改めて注目を集めた。
アニメ版『秒速5センチメートル』を桜前線リバイバル上映
実写版の大ヒットを記念し、新海自身が制作当時を振り返る特別映像を添えたアニメ版『秒速5センチメートル』を、桜前線を追うように全国で期間限定リバイバル上映。
「KYOTO地球環境の殿堂」第16回殿堂入り
『天気の子』『すずめの戸締まり』など異常気象や災害をテーマにした作品を通じ、世界中の人々が環境と人間の関係を考えるきっかけを生んだとして殿堂入りが決定。表彰式は同年11月に京都で行われる予定。
現在 ―― 長年準備してきた新作を発表予定
2026年の年頭には「長く準備をし続けてきた新作映画をようやく具体的にお知らせできる年になりそうです」とコメントし、スタッフとともに次回作の制作を進めていることを明かした。