目次
スカウト、そして台詞のない役から舞台へ
平成4〜
神奈川県秦野市に生まれる
1992年2月11日、神奈川県秦野市に生まれる。市内の南が丘で育ち、からっからに乾いた水無川の歩道を歩くことや、夜に震生湖のほとりを散歩するのが好きだった。
山手線でスカウトされ、『小公女セイラ』でデビュー
高校時代、山手線の車内でスカウトされる。名刺を渡され、「これをインターネットで検索したら、絶対に出てくるから。連絡ください」と言われたという。2009年10月に始まったTBSの連続ドラマ『小公女セイラ』で、桜井ナナ役としてデビューした。
五反田団の舞台『宮本武蔵』に出演
事務所に入ってからは、ドラマの主人公のクラスメイト役やエキストラのような、台詞のない役が続いた。19歳だった2011年11月に『43』で初舞台を踏み、本人によれば20歳のときに自分で劇団に応募する。劇作家・前田司郎が主宰する五反田団のワークショップに参加して出演を頼まれ、2012年6月、三鷹市芸術文化センターで上演された『宮本武蔵』で千代を演じた。
本人ドラマのセリフのない役では絵の中の背景みたいに扱われていたのが、舞台ではどんなに役が小さくてもみんなで一緒につくることができるんですよね。 出典
東京ガスのCMから、初主演映画へ
平成26〜
東京ガスのCMが話題に
2014年2月に放送された東京ガスのCMで、就職活動の厳しさに押し潰されそうになる学生を演じる。「リアルすぎる」との声が寄せられて放送中止になったが、次第に「感動的なCM」としてSNSで話題になった。3月には映画『銀の匙 Silver Spoon』で吉野まゆみを演じ、11月には『サナギネ』で舞台に初めて主演した。
『ピンクとグレー』でヒロイン、『99.9』で片岡加奈子役
2016年1月公開の映画『ピンクとグレー』ではヒロインのひとりに抜擢され、4月に始まったTBS日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』では片岡加奈子を演じる。
『真田丸』で大河ドラマに初出演
NHK大河ドラマ『真田丸』で、堺雅人が演じる主人公・真田信繁の3人目の妻、たかを演じる。たかは豊臣秀吉が切腹に追い込んだ関白・豊臣秀次の娘で、一門の処刑を免れて信繁の妻となる。出演は5月に報じられ、登場は7月3日の放送からだった。
『十九歳』で民放ドラマに初主演
フジテレビの『十九歳』で民放ドラマに初めて主演し、奔放な母に反抗する美大生・祐村嬉子を演じる。脚本は、高校生が対象の『ドラマ甲子園』で初代大賞を受けた音楽大学生の青山ななみ。3月27日からの配信を経て、4月5日に地上波で放送された。
『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画に初主演
森ガキ侑大監督の『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画に初めて主演し、祖父の死をきっかけに家族が関係を見つめ直す物語で春野吉子を演じる。出演は『真田丸』の放送中だった2016年8月に報じられた。11月4日の初日舞台挨拶はテアトル新宿で行われ、翌2018年には同作で第39回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受けた。
本人初主演でようやく映画で真ん中に立つということを経験して、主演だからこそ経験できるものがあるなと思いました。 出典
『まんぷく』のタカと『愛がなんだ』のテルコ
平成30〜
朝ドラ『まんぷく』に香田タカ役で出演
NHK連続テレビ小説『まんぷく』に第25回から出演し、朝ドラに初めて出る。演じた香田タカは主人公の姪で、登場時は14歳の設定だったため、26歳の岸井は声のトーンを少し上げ、化粧をしない役作りで臨んだ。2019年1月7日の放送でタカが神部と結婚すると、「神部タカ」がトレンドワードの上位に入った。
『愛がなんだ』でテルコを演じる
今泉力哉監督が角田光代の小説を映画化した『愛がなんだ』に主演し、成田凌が演じるマモルに想いを寄せるテルコを演じる。本人は、原作をよく読んでいたことがテルコの人物像に影響したかもしれないと語っている。寿司店での皿洗いのアルバイトを続けていたが、行けなくなったのはこの映画の公開のころだった。本人は2017年の『おじいちゃん、死んじゃったって。』とこの作品を、考え方が変わったターニングポイントに挙げている。
本人撮影以外での成田さんとのやりとりにおいても、本音の1~2歩手前で止めるということは意識していました。 出典
日本アカデミー賞の新人俳優賞を受ける
『愛がなんだ』で第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受け、3月6日の授賞式に黒島結菜、横浜流星らと並んだ。前年の2019年には、『愛がなんだ』『ここは退屈迎えに来て』『いちごの唄』でTAMA映画祭の最優秀新進女優賞を受けていた。
『浦安鉄筋家族』『私たちはどうかしている』に出演
4月に始まったテレビ東京の『浦安鉄筋家族』で大沢木桜を、8月からの日本テレビ『私たちはどうかしている』で長谷栞を演じる。本人は後者の役を「いわゆる邪魔者のような役どころ」と振り返っている。
映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』に出演
2018年1月からのドラマSEASON IIに続き、12月30日公開の映画でも片岡加奈子を演じた。
『恋せぬふたり』、そして声のない『ケイコ 目を澄ませて』
令和4〜
『恋せぬふたり』で高橋一生とW主演
NHK総合の『恋せぬふたり』(全8回)で高橋一生とダブル主演を務め、ゴールデンプライムタイムの連続ドラマで初めて主演する。演じた兒玉咲子は、恋愛を前提としたコミュニケーションになじめずにいる会社員。高橋一生が演じるスーパーの店員・高橋に「恋しない人間もいる」と言われ、ネットで「アロマンティック・アセクシュアル」という言葉に出会う。脚本は吉田恵里香。
初のフォトエッセイ『余白』を出版
NHK出版から初のフォトエッセイ『余白』を出す。「30歳になった女性として、いましか手元にとどめておけないもの」をコンセプトに、デビューのきっかけや出演作との向き合い方、子ども時代の思い出をつづった。
『ケイコ 目を澄ませて』に主演、ベルリン国際映画祭で上映
三宅唱監督の『ケイコ 目を澄ませて』に主演し、耳が聞こえない元プロボクサー・小笠原恵子の自伝を原案にした物語で、ボクサーのケイコを演じる。撮影の3カ月前からボクシングのトレーニングを積み、手話の表現も身につけて、声を発さずに演じた。作品は2022年2月の第72回ベルリン国際映画祭でエンカウンターズ部門にてプレミア上映された。公開前には「3大映画祭のベルリンに作品が届いたのもそうだし、フィルムで撮る映画の現場に入るのも私の夢でした」と語り、この作品を「私の夢を叶えてくれた作品」と呼んだ。公開記念の舞台あいさつで、共演の三浦友和は「岸井ゆきのの代表作と言っていい」と語った。
本人共感というよりも、もはやケイコの目線でものを見ている感覚がありました。ケイコは私だと思っていました 出典
日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受ける
『ケイコ 目を澄ませて』で、毎日映画コンクールの女優主演賞、2月1日のキネマ旬報ベスト・テンの主演女優賞に続き、3月10日の第46回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受ける。本人には予想外の受賞で、壇上では目を潤ませながら「三宅組でなかったら、誰一人欠けてもここに立てませんでした」と語った。
本人受賞のスピーチではうまく言えなかったんですけど、私は役者として、まだ出会う前の誰かのために生きることができるんじゃないかと。 出典
『日曜の夜ぐらいは…』で元ヤンのタクシー運転手を演じる
朝日放送テレビ制作の『日曜の夜ぐらいは…』で、元ヤンのタクシー運転手・野田翔子を演じる。本人は、人との距離感が「バグっている」キャラクターだと説明した。11月からはNHK『大奥』Season2の「幕末編」で和宮を演じた。
療養病棟の看護師、そしてカンヌへ
令和6〜
『お別れホスピタル』で療養病棟の看護師を演じる
NHK土曜ドラマ『お別れホスピタル』(全4話)で、末期がんなど重い医療ケアが必要な人を受け入れる療養病棟の看護師・辺見歩を演じ、ゴールデンプライムタイムの連続ドラマで初めて単独で主演する。原作は沖田×華の漫画、脚本は安達奈緒子で、医師・広野誠二役の松山ケンイチと共演した。
舞台『ふくすけ 2024』に出演
松尾スズキの『ふくすけ』の12年ぶりの上演に、阿部サダヲ、黒木華らと出演する。10月には映画『若き見知らぬ者たち』でヒロインの日向を演じた。
『恋は闇』で志尊淳とW主演
日本テレビ系の水曜ドラマ『恋は闇』で志尊淳とダブル主演を務め、連続殺人鬼の疑いがかかる週刊誌記者・設楽浩暉に強く惹かれていく情報番組ディレクター、筒井万琴を演じる。志尊とは初共演で、2人とも同局のゴールデン・プライム帯のドラマで主演するのは初めてだった。
『佐藤さんと佐藤さん』で宮沢氷魚とW主演
天野千尋監督の映画『佐藤さんと佐藤さん』で宮沢氷魚とダブル主演を務め、同じ佐藤姓の男女が交際、結婚、出産を経て歩んだ15年間を描く物語で、芯が強く明るい佐藤サチを演じる。12月13日からはNHKの特集ドラマ『火星の女王』で、火星の最古の入植地にある労働者の街で育ったチップを演じた。
『お別れホスピタル2』で再び辺見歩を演じる
続編『お別れホスピタル2』が3月にNHK BSプレミアム4Kで、4月4日と11日にNHK総合で放送され、再び看護師・辺見歩を演じる。前作では「その最後の出会いがいいものであるように」ということを道標に演じていた。続編では、患者が振り返る人生の中に辺見はいないと感じたという。
本人今回の現場は、感じているのは私自身だし、喋っているのも私自身という感覚が強すぎて、「演じるってどういうことなんだろう?」という原点に回帰するような不思議な体験でもありました。 出典
主演作『すべて真夜中の恋人たち』がカンヌの「ある視点」部門で上映
川上未映子の恋愛小説を岨手由貴子監督が映画化した『すべて真夜中の恋人たち』が、第79回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品された。岸井が演じたのは、人との関わりを拒んで孤独に生きてきた校閲者の冬子で、浅野忠信が共演した。岨手監督と岸井にとって初のカンヌ選出で、5月17日の公式上映の後には約4分間のスタンディングオベーションが起こった。
日台合作『シンシン アンド ザ マウス』に主演
吉本ばななの短編小説を映画化した『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』で、ツェン・ジンホアとともに主演し、母を失った喪失感を抱えて台湾を旅するちづみを演じる。撮影は台湾でも行われた。
WOWOW『ユージニア』で主演、『すべて真夜中の恋人たち』公開
恩田陸のミステリー小説を実写化したWOWOWの連続ドラマ『ユージニア』(全6話)が、11月8日から放送・配信される。岸井がWOWOW作品で主演するのは初めてで、脚本は『お別れホスピタル』と同じ安達奈緒子。11月13日には『すべて真夜中の恋人たち』が公開される。
現在:ユマニテに所属し、主演作が続く
ユマニテに所属。2026年は『お別れホスピタル2』『シンシン アンド ザ マウス』『ユージニア』『すべて真夜中の恋人たち』と主演作が続く。