南アフリカでの生い立ちと渡米
昭和46〜
南アフリカ・プレトリアに生まれる
エンジニアの父エロルと、モデル・栄養士の母メイの間に生まれる。3人きょうだいの長男で、のちに事業を共にする弟キンバル、妹トスカがいる。両親は1980年に離婚した。
独学でプログラミングを習得
10歳でコモドール社の家庭用パソコン「VIC-20」を手に入れ、付属マニュアルを頼りに独学でプログラミングを学び始めた。
自作ゲーム「Blastar」を500ドルで販売
12歳で自作した宇宙シューティングゲームのコードを、南アフリカのパソコン専門誌『PC and Office Technology』に約500ドルで売却した。早くから事業家としての一面を見せた。
カナダへ移住
母の出身国であるカナダに単身移り、のちにクイーンズ大学に進学した。アパルトヘイト体制下の南アフリカでの兵役義務を避ける目的もあったとされる。
ペンシルベニア大学を卒業
経済学と物理学の課程を修了(正式な学位授与は1997年)。同年、スタンフォード大学院の材料科学課程に合格したが、インターネット事業の機運を感じて入学を見送った。
起業家としての始動 ── Zip2からPayPalへ
平成7〜
弟と「Zip2」を創業
エンジェル投資家グループからの出資を受け、弟キンバルと共同で最初の自身の会社を立ち上げた(本人は父から借りた資金が元手だったとする説を否定しており、父が関与したのは創業後の別の資金調達ラウンドへの10%出資のみとしている)。新聞社向けのオンライン地図・企業ディレクトリサービスを手がけ、ニューヨーク・タイムズなど大手新聞社との契約を獲得した。
Zip2をコンパックに約3億ドルで売却
コンパックが買収を発表(買収総額は正式完了時点で株式対価等を含め約3億4100万ドル)。27歳で、自身の持ち分(約7%)から約2200万ドルを手にした。その資金を元手に、すぐ次の事業へと動き出す。
オンライン金融サービス「X.com」を設立
Zip2売却益のうち約1000万ドルを自己資金として投じ、オンライン銀行・決済サービスとして設立。のちにPayPalとなる決済事業の出発点となった。
ジャスティン・ウィルソンと結婚
複数の子をもうけたが、2008年に離婚した。
X.comがコンフィニティ(Confinity)と合併
決済事業コンフィニティと合併。統合会社はオンライン決済サービスとして急成長し、翌2001年に社名を正式に「PayPal」へ改称した。
X.com(のちのPayPal)のCEOを解任される
経営方針を巡る対立から取締役会によりCEOを解任され、コンフィニティの共同創業者だったピーター・ティールが後任CEOに就任した。
SpaceXとTesla、二つの大事業
平成14〜
— 宇宙開発企業「SpaceX」を設立
当初は火星に小型温室を送り込み植物を育てる「マーズ・オアシス」計画のため、ロシアで中古の大陸間弾道ミサイルを調達しようとしていたが、提示された価格の高さに衝撃を受け、自らロケットを開発する会社を興すことを決めた。ロケットの打ち上げコストを劇的に下げることを目標に立ち上げ、当初は打ち上げ失敗が続き資金難にも直面したが、のちに軌道投入とロケット再使用に成功し、宇宙開発企業として存続・成長する起点となった。
PayPalがeBayに売却される
約15億ドルでの売却で、筆頭株主だったマスクは約1億8000万ドルを手にした。この資金のうち約1億ドルをSpaceXに、約7000万ドルをTeslaに投じ、以後の事業の元手とした。
電気自動車ベンチャー「Tesla」に出資し会長に
2003年にマーティン・エバーハードらが設立した会社に対し、約650万ドルのシリーズA資金調達のうち大半にあたる約635万ドルを自ら投資し、筆頭株主・会長に就任した。のちに経営の中心的な役割を担うようになる。
SpaceX、4度目の打ち上げでロケットの軌道投入に成功
それまで3回連続で失敗し資金も尽きかけていたが、Falcon 1ロケットが民間開発の液体燃料ロケットとして初めて地球軌道への投入に成功。この成功の3か月後、NASAから国際宇宙ステーションへの物資補給を担う16億ドル規模の契約を獲得し、会社の存続をつなげた。
Teslaの最高経営責任者(CEO)に就任
リーマン・ショック後の資金繰り悪化で経営危機に陥っていた同社の経営を直接率いる立場となり、自身の個人資産もつぎ込みながら倒産の淵を乗り切った。
俳優タルラ・ライリーと結婚
英国の俳優タルラ・ライリーと結婚。2012年に一度離婚したのち2013年7月に再婚し、2016年に正式に離婚した。
「モデルS」を発売
電気自動車の実用性を一般層に示す転機となり、翌2013年には米モータートレンド誌の「今年の車」に、内燃機関を搭載しない車として同賞史上初めて満場一致で選出された。
— ロケットの着陸に初めて成功
打ち上げ後のブースターを垂直着陸させ、ロケットの再使用という宇宙開発の常識を変える一歩となった。
世界的存在へ ── X買収と政治への接近
平成28〜
「Neuralink」を設立、翌年「The Boring Company」も設立
2016年に脳とコンピュータを接続する技術を手がけるNeuralinkを共同設立、2017年にはトンネル交通インフラを開発するThe Boring Companyを設立し、事業領域をさらに広げた。
カナダ人歌手グライムスとの間に第一子誕生
交際していたミュージシャンのグライムスとの間に長男が誕生。以後、代理出産などを経て複数の子をもうけている。
— 民間企業として初の有人軌道飛行に成功
SpaceXの「クルードラゴン」がケネディ宇宙センターからNASA宇宙飛行士ボブ・ベンケンとダグ・ハーレーを打ち上げ、国際宇宙ステーションへ送り届けた。民間企業として初めて有人の軌道飛行を実現した。これによりスペースシャトル退役(2011年)以来9年ぶりに米国本土からの有人打ち上げが復活し、NASAはロシアのソユーズへの依存から脱却、SpaceXは商業有人宇宙飛行の担い手としての地位を確立した。
米タイム誌「今年の人」に選出
TeslaとSpaceXの経営者として、宇宙開発と電気自動車の両分野で世界に影響を与えた人物として選ばれた。
— Twitterを買収
約440億ドルで買収に合意したのち、スパムアカウント数の開示を巡って一時撤回を試みたが、Twitter側の提訴により契約履行を余儀なくされ完了した。買収後は全従業員の半数以上を解雇するなど大規模な組織改革を断行し、翌年には社名を「X」に改めた。この買収を機に、言論方針や経営手法をめぐって世界的に注目・議論される経営者となった。
AI企業「xAI」を設立
2015年に自ら共同設立しながら、経営方針を巡る対立から2018年に取締役を退いたOpenAIに対抗する形で、対話AI「Grok」の開発を進める新会社を立ち上げた。
トランプ政権の政府効率化省(DOGE)で大統領上級顧問に
特別政府職員(大統領上級顧問)として、連邦政府の支出削減を掲げる新設部局DOGEの運営に事実上の中心人物として参加した。
DOGEの役割を終え政権を離れる
特別政府職員としての任期満了に合わせて退任を表明し、自身の事業に専念する姿勢を示した。
事業に専念、そして世界初の兆万長者に
令和8〜
SpaceXがxAIを吸収合併
SpaceXがAI企業xAIを株式交換方式で吸収合併し、対話AI「Grok」の開発とX(旧Twitter)の運営をSpaceXの傘下に統合した。合併後の評価額は約1.25兆ドルとされた。
衛星による携帯通信サービス「Starlink Mobile」を発表
2025年9月に通信大手EchoStarから携帯電話向け周波数帯を約170億ドルで取得したのち、2026年3月のモバイル業界見本市MWCバルセロナで、地上の基地局を介さずスマートフォンと衛星を直接つなぐ携帯通信サービス「Starlink Mobile」を発表。AT&T・Verizon・T-Mobileなど既存の携帯キャリアと競合する新事業として、2027年半ばのサービス開始を目指すとした。
— SpaceXの株式上場で資産1兆ドルを突破
SpaceXが株式公開を実施しIPO評価額は約1.8兆ドルに、上場初日の取引では時価総額が一時2兆ドルを突破した。これにより個人として世界で初めて資産1兆ドルを超えた。
資産の乱高下を経て、上場後初の決算に登場
SpaceX株の急落とTeslaの業績不振により、7月だけで資産が3630億ドル減少し一時7000億ドルを下回った。8月4日、SpaceX上場後初の決算説明会に登壇し、AI向け半導体は今後NVIDIA製品のみを採用する方針を示すとともに、EchoStarから取得した周波数帯を使い地上基地局とも組み合わせた本格的な携帯通信事業でVerizon・AT&T・T-Mobileの顧客獲得を目指す方針を表明した。通信大手3社の株価は時間外取引で下落し、資産急減後の経営姿勢を市場に示す節目となった。
本人7月24日、資産が1兆ドルを割り込んだ状況について「(Former) Trillionaire」(=元・兆万長者)とXに投稿した。 出典