目次
「3年間だけ」の約束
昭和60〜
ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞
第25回大会に友達に誘われて参加し、その気になった理由は「部活を休むための口実」だった。当時の名前は蓼丸綾。同行した母は芸能界入りに反対で、合格を見てひとり先に広島へ帰った。父がPTA会長だったこともあり、合格が報じられると本人は校長室に呼ばれて叱られたという。
本人1年悩んで家族会議をして、『3年間だけやってみる』みたいな感じで 出典
芸名が「綾瀬はるか」に決まり、『金田一少年の事件簿』で女優デビュー
芸名はインターネットで公募し、寄せられた16,000件から本人とスタッフで選んだ。同じ年、日本テレビ系の『金田一少年の事件簿』で女優デビューする。売り出しはアイドルとしてで、最初はグラビアやバラエティが中心だった。上京しても早く広島に帰りたかったのが本音で、女優の仕事にもあまり意欲を持てなかったとされる。
『僕の生きる道』で初の連続ドラマレギュラー
フジテレビ系のドラマで杉田めぐみを演じる。4月期には『ブラックジャックによろしく』にも椿理沙子役で出演した。
アキから「干物女」へ
平成16〜
『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロイン・廣瀬亜紀に
白血病に倒れる亜紀は、16歳で上京した彼女にとって、自分から「やってみたいと初めて思った役」だった。闘病の場面ではかつらを使わずに実際に頭を剃り、台本の「やせて筋が見えて」に合わせて7キロほど減量した。第42回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞を受賞。この作品に出たあたりから、しだいに演技に開眼していったと評されている。
本人この作品が終わったら、もう辞めていいという気持ちで臨んでました 出典
ドキュメンタリー『ヒロシマ』で、祖母から原爆の話を聞く
祖母の姉は1945年8月6日、広島への原爆投下で亡くなっている。TBSの戦後60年特別企画で広島の実家を訪ね、それまで決して原爆のことを語らなかった祖母から、初めて話を聞いた。年末には第47回日本レコード大賞の司会を務めた。
『白夜行』で唐沢雪穂を演じる
東野圭吾の小説が原作のテレビドラマで、ヒロインの雪穂を演じる。第48回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞を受けた。3月24日には、小林武史プロデュースのシングル「ピリオド」で歌手デビューし、オリコンチャートで初登場8位を記録している。
本人『白夜行』で雪穂という役に出会えたことは、私の俳優人生においてかけがえのない宝物です。 出典
『ホタルノヒカリ』で連続ドラマ初の単独主演
ひうらさとるの漫画が原作の日本テレビ系ドラマで、面倒くさがりで恋愛も放棄してしまった「干物女」の雨宮蛍を演じる。2010年にはパート2が放送され、第66回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞を受賞。2012年には、蛍と高野部長(藤木直人)が新婚旅行先のローマで騒動を起こす映画版も公開された。
『僕の彼女はサイボーグ』『ICHI』など4作で映画賞
『僕の彼女はサイボーグ』では未来から来たサイボーグを、『ICHI』では盲目の女旅芸人を演じる。この2作に『ザ・マジックアワー』『ハッピーフライト』を加えた4作で第32回山路ふみ子映画賞の新人女優賞を受け、第21回日刊スポーツ映画大賞でも主演女優賞に選ばれた。ドラマ『鹿男あをによし』の収録中には、共演の児玉清と深夜まで人生について語り合ったことが何度もあったという。
『JIN-仁-』で橘咲を演じる
この年の4月に公開された主演映画『おっぱいバレー』では、第52回ブルーリボン賞の主演女優賞を受賞している。TBS系ドラマで武家の娘・橘咲を演じ、第63回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞を受ける。2011年4月期の『JIN-仁- 完結編』でも同じ役を務め、第69回の同賞でも助演女優賞を受けた。
本人時代物、もっとやりたいなって気分になってます。大河ドラマにも出てみたいなと思ったり(笑)。 出典
戦争を聞き、八重を生きる
平成22〜
『NEWS23』で戦争体験者の話を聞く企画が始まる
2005年の『ヒロシマ』をきっかけに、TBSの『NEWS23』の特別企画として、戦争体験者に話を聞く取材が始まった。以後、毎年放送されている。祖母の姉を広島の原爆で亡くしていることも、この仕事を引き受けたきっかけだったという。2013年には取材をまとめた『綾瀬はるか「戦争」を聞く』が岩波ジュニア新書から刊行された。話を聞いた体験者は、のちに60人以上となる。
— 大河ドラマ『八重の桜』で主演
大河ドラマに初めて出演し、主演を務める。東日本大震災と福島第一原発事故を受けて制作された作品で、会津藩出身の新島(山本)八重を演じた。年末の第64回紅白歌合戦では初めて紅組司会を務め、震災復興支援曲「花は咲く」を歌った。この作品以来、福島県を中心とした被災地の支援活動を続けている。2014年からは福島県内を訪ねる「ふくしまに恋して」がNHKで放送され、会津まつりの会津藩公行列にも参加。2021年5月には、この縁で「はるか」と名付けられた八重桜の新品種が品種登録された。
本人1年って長いようであっという間で、もっと撮影したかったなという気持ち。 出典
『海街diary』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映
是枝裕和監督の作品で、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずと4姉妹を演じ、香田幸役を務めた。現地の記者会見では「ボンジュール、ジュスイ ハルカアヤセ」とフランス語で自己紹介。撮影前には4人で、撮影に使った家の掃除やそうめん作りをして過ごしたという。日本公開は6月13日で、この作品で第70回毎日映画コンクールの女優主演賞を受けた。年末には第66回紅白歌合戦で、2回目の紅組司会を務める。
女用心棒と義理の母を演じて
平成28〜
『わたしを離さないで』で主演
カズオ・イシグロの小説が原作のTBS系ドラマで、保科恭子を演じる。放送を前に、本人の熱望でイシグロとの対談が2015年暮れに実現した。母親が長崎で原爆に遭っているイシグロは、彼女が戦争体験者の話を聞く仕事をしていると知り、「非常に価値のあること」と評価した。
大河ファンタジー『精霊の守り人』で女用心棒バルサに
上橋菜穂子の「守り人シリーズ」を原作とするNHKの大河ファンタジーで、短槍を使う用心棒バルサを演じ、殺陣も披露した。制作側は起用の理由に「身体能力の高さ」を挙げている。3年にわたって放送され、最終章のシーズン3まで演じた。ジャパンアクションアワードでは、2017年と2018年にベストアクション女優賞の最優秀賞を受けている。
『義母と娘のブルース』で主演
TBS系ドラマで、子持ちの男性と結婚したキャリアウーマンの亜希子が、相手の娘・みゆきの母親になろうと奔走する姿を演じる。『JIN-仁-』のころに「やってみたい役」として挙げていた、キャリアウーマンの母親役だった。平均視聴率14.2%、最終回は19.2%を記録し、第22回日刊スポーツ・ドラマグランプリの主演女優賞を受賞。2020年と2022年の正月にスペシャル版が放送され、2024年のスペシャルで最終回を迎えた。
本人自然になんか“子供っていいな”って、初めて思いました 出典
父が死去
父が肺がんのため亡くなった。同じ年、母が代表取締役、本人と兄が取締役を務める個人事務所「tapestry」が広島市に設立されている。立ち上げは、父が存命中に本人と話し合って決めたことだったという。
第70回紅白歌合戦で3回目の紅組司会
4年ぶりの紅組司会となった。この年は大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』にも出演し、主人公の一人・金栗四三の妻、春野スヤを演じている。
『天国と地獄〜サイコな2人〜』で主演
TBS系ドラマで、猟奇殺人事件の容疑者・日高陽斗(高橋一生)ともみ合ううちに魂が入れ替わってしまう、警視庁捜査一課の刑事・望月彩子を演じる。序盤から2けたの視聴率が続き、この作品で東京ドラマアウォード2021の主演女優賞を受けた。3月6日には、東日本大震災から10年を前にNHKで放送された単発ドラマ『あなたのそばで明日が笑う』で、中学生の子どもを持つ母親を演じている。
『元彼の遺言状』で月9初主演
フジテレビの「月9」に初めて出演し、初めての弁護士役となる剣持麗子を演じる。同局の連続ドラマへの出演は、『鹿男あをによし』以来14年ぶりだった。
ふたたびカンヌへ
令和5〜
『レジェンド&バタフライ』『リボルバー・リリー』で報知映画賞主演女優賞
1月公開の『レジェンド&バタフライ』で木村拓哉と初めて夫婦役を務めて濃姫を、8月公開の『リボルバー・リリー』で小曾根百合を演じた。この2作で第48回報知映画賞の主演女優賞を受賞。『リボルバー・リリー』では、第47回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞にも選ばれている。
『ひとりでしにたい』で主演
カレー沢薫の漫画が原作のNHK土曜ドラマで、憧れていた伯母の孤独死をきっかけに婚活に走り、やがて終活を考え始める山口鳴海を演じる。この年は大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で九郎助稲荷として語りを担当し、2月公開のアニメ映画『野生の島のロズ』では主人公ロズの日本語吹き替えを務めた。
本人わたしも35歳くらいから20代の頃とは違うんだなと、はじめて死を意識した年齢だったかもしれないです。 出典
戦後80年特別番組でアメリカを取材
TBS系の『なぜ君は戦争に? 綾瀬はるか×news23』で、人々が戦争に向かう理由を探った。12月31日の第76回紅白歌合戦では、有吉弘行、今田美桜らとともに6年ぶりに司会を務めた。
『人はなぜラブレターを書くのか』が公開
2000年3月に日比谷線中目黒駅構内で起きた脱線衝突事故を背景にした石井裕也監督の作品で、主人公の寺田ナズナを演じる。石井監督とは初めての顔合わせで、夫役の妻夫木聡とは2008年の『ザ・マジックアワー』以来の共演だった。
『箱の中の羊』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映
是枝裕和監督と『海街diary』以来久々に組んだ作品で、千鳥の大悟と夫婦役のダブル主演を務め、ヒューマノイドを息子として迎え入れる建築士・甲本音々を演じる。第79回カンヌ国際映画祭で公式上映され、レッドカーペットでは先に車を降りた大悟が手を差しのべた。日本では5月29日に公開された。
本人上映で見ているお客さんが本当に監督の作品が好きで、すごく期待を込めて、みんなすごい真剣に見てらっしゃるなっていうのが伝わってきて。やっぱり世界の是枝さんだったんだなって思います。 出典
『ファーストボイス ―私たちの逆転裁判―』が公開
1989年に起きた日本初の「ハラスメント裁判」に着想を得た前田哲監督の作品で、お金にならない案件ばかり引き受けてしまうお人好しの弁護士・朝日道子を演じる。共演はファーストサマーウイカ、松本穂香。
現在:主演映画3本が公開された年
2026年は『人はなぜラブレターを書くのか』『箱の中の羊』『ファーストボイス』と、主演映画が3本公開された。2018年刊のフォトブックでは、『世界の中心で、愛をさけぶ』でも『八重の桜』でも、これで辞められると思っていたと明かしたうえで、続けてこられたのは「関わってくれる人たちに喜んでほしいし期待に応えたい」という思いからだと語っている。