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本の虫、バンドマン、そして投稿
昭和53〜
東京都稲城市出身、父の書架で本に親しむ
東京都稲城市の出身。父がSFやミステリーの愛好家で、実家の書架にはそうした小説がそろっていた。小学校では学級文庫にあったルパンや少年探偵団のシリーズを片っ端から読む。中学時代はパソコンでゲームを作り、『マイコンBASICマガジン』に投稿していた。父の書架で偶然手に取ったあるミステリーのラストに驚かされたのも中学生の頃で、本を読んで驚いた経験でこれに勝るものはいまだにないという。
本人小説に限らず昔から漠然と、自分は「何かを作る」という世界で生きていくのだろうという感覚はありました。 出典
フリーターとニートを経て、『火目の巫女』で電撃小説大賞の銀賞
高校時代は音楽にのめり込み、バンドでプロになるつもりでいた。卒業後、高校の部活仲間が小説を書き始めたのに触発されて自分も書き、ライトノベルの新人賞に送った1作目は最終選考に残ったが受賞は逃す。フリーターを6年、ニートを3年経験し、売れないバンドマンだった頃は部屋に『ノルウェイの森』の上下巻しか本が無く、繰り返し読んだ。その後、『火目の巫女』で第12回電撃小説大賞の銀賞を受ける。応募総数は3022作だった。
本人万が一、1作目で受賞して本を出していたら、右も左も分からずに早々に潰れていたと思います。 出典
電撃文庫から、アニメ化まで
平成18〜
『火目の巫女』で作家デビュー
受賞作『火目の巫女』が2月に電撃文庫から出て、作家としてデビューした。シリーズは8月までに全3巻が刊行される。本人によれば、文体はデビュー2作目以降、村上春樹のコピーで、ミステリーからラブコメまで、村上春樹が書きそうにないことを村上春樹の文体で書いてきた。主人公も一貫して線の細いタイプにしている。
本人主人公をタフな人物に設定すると無理が出る物語は比較的多いのですが、線の細い主人公で書けない物語はほぼない。 出典
『神様のメモ帳』を電撃文庫で始める
イラストは岸田メル。自らを「ニート探偵」と呼ぶ引きこもりの少女アリスが、部屋から出ずにネットで真実を暴き、高校1年の藤島鳴海が助手として動く。登場人物の大半は学校にも仕事にも行っていない。
音楽を題材にした『さよならピアノソナタ』
電撃文庫で『さよならピアノソナタ』を始める。イラストは植田亮。2009年10月の短編集までの全5巻で、赤坂アカの作画で漫画版も『電撃マオウ』に連載された。2015年10月時点の累計部数は30万部。
6か月連続で新刊を刊行
5月の『死図眼のイタカ』から10月まで、毎月新刊を出す。電撃文庫に加え一迅社文庫、GA文庫からも本を出し、この年の刊行は8冊になった。
『神様のメモ帳』がテレビアニメに
2月に発表された『神様のメモ帳』のテレビアニメが7月にAT-Xほかで始まり、9月まで全12話が放送された。監督は桜美かつし、アニメーション制作はJ.C.STAFF。アリスを小倉唯、鳴海を松岡禎丞が演じた。
講談社ラノベ文庫で『生徒会探偵キリカ』
イラストはぽんかん⑧。生徒数8000人の巨大な学園で、不登校の生徒会会計・聖橋キリカが探偵役も務める。2012年から『月刊少年シリウス』で漫画版が連載された。
電撃文庫で『楽聖少女』
刊行に合わせたインタビューでは、音楽関係の支出を作家業の経費にするためという理由も挙げつつ、音楽ものは一生書き続けるという趣旨を語った。
一般文芸誌への進出と『楽園ノイズ』
平成25〜
集英社から『神曲プロデューサー』
ライトノベルのレーベルを中心に書いてきた杉井は、蒔田シュンを主人公にしたシリーズの第1作『超越数トッカータ』で一般文芸誌にも作品を発表した。この年の7月には、集英社から『神曲プロデューサー』を刊行している。この年は『電撃大王』2013年8月号から、Tivの作画による漫画原作『こもりクインテット!』の連載も始まった。
匿名掲示板への書き込みが明らかになり、謝罪
2ちゃんねるの有料サービス利用者の情報が流出し、杉井が匿名で同業の作家や出版社を中傷する書き込みをしていたことが明らかになった。27日、自身の公式サイトに謝罪文を載せ、関係者と読者に陳謝した。
『ブックマートの金狼』、漫画原作『天竜牌』
NOVEL 0から『ブックマートの金狼』を刊行。マンガボックスでは2016年第39号から、松井勝法の作画による漫画原作『天竜牌』を連載した。
講談社タイガから『比翼のバルカローレ』
この年は4月から『グランドジャンプWEB』で、おかゆさんの作画による漫画原作『電脳格技メフィストワルツ』を連載していた。8月には『比翼のバルカローレ 蓮見律子の推理交響楽』を刊行。
音楽もの『楽園ノイズ』を始める
5月1日に小説投稿サイトのカクヨムで公開し、9日に電撃文庫から第1巻を刊行した。イラストは春夏冬ゆう。『このライトノベルがすごい!2021』で総合新作部門4位、文庫部門6位に入り、同誌は杉井が描く音楽ものが往年の読者に響いたと評した。2022年からは『月刊コミックアライブ』で漫画版も連載される。
新潮文庫nexで『この恋が壊れるまで夏が終わらない』
時を遡る力を持つ高校生が、夏休み最後の日に遺体で見つかった図書委員の先輩を救おうとするタイムリープ青春ミステリ。
『世界でいちばん透きとおった物語』、そしてホラーへ
令和5〜
『世界でいちばん透きとおった物語』を新潮文庫nexから
大御所ミステリ作家の死後、その息子が、父が遺したとされる同名の原稿を探す物語で、「電子書籍化絶対不可能」「ネタバレ厳禁」を打ち出した。中学時代に読んだ一冊のような読後感の小説をいつか書きたいと思っていたところへ、2022年の春ごろ、軸になるトリックが浮かんだのが始まり。発売直後の売れ行きは伸びなかったが、数週間後に動画メディアで紹介されて口コミが広がり、20万部到達は新潮文庫nex史上最速だった。2023年に最も売れた新潮文庫になる。
本人「いつか準備ができたら書こう」などと考えていたら一生書けないので、「よし、やるか!」と勢いでネタを練り始めた。 出典
第5回ほんタメ文学賞のたくみ部門大賞
ヨビノリたくみと齋藤明里がMCを務めるYouTubeのエンタメ情報チャンネル、ほんタメが主催する賞で、2023年上半期に出た小説から『世界でいちばん透きとおった物語』が選ばれ、8月21日のライブ配信で発表された。累計発行部数は30万部を超える。
『このミステリーがすごい!2024年版』で8位
12月5日発売の同誌で『世界でいちばん透きとおった物語』が8位に入った。週刊文春ミステリーベスト10では9位だった。
『神曲プロデューサー』が集英社文庫に
4月、2013年に集英社から刊行した『神曲プロデューサー』が集英社文庫に入った。『小説新潮』には8月号に短編『ナイフが違う』、12月号に『最期の一葉』を発表した。
続編『世界でいちばん透きとおった物語2』
1月29日に刊行。ビブリオ・ミステリの第2弾で、完売店が続き、発売2日で大増刷が決まった。作中には前作の大トリックにかかわる謎解きが仕掛けられ、新潮社は前作の50万部突破の御礼として、その答えのページ数を当てるクイズ企画を開いた。
初のホラーミステリ『羊殺しの巫女たち』
8月27日にKADOKAWAから刊行。山に囲まれた村で12歳の6人の少女が祭りの巫女に任命され、12年後、村の習わしを壊すという約束を果たすために再び集まる。長編ホラーへの初挑戦で、スティーヴン・キングの『IT』、小野不由美の『屍鬼』、綾辻行人の『Another』の3作を目標にしたという。
本人いつか日本を舞台にしたオマージュ作品を書いてみたいと思っていました。作家デビュー前からの夢でしたね。 出典
初の創作指南書『ミステリが最強の文芸である』
3月12日に日本文芸社から刊行。伏線やミスディレクション、真相の隠し方といったミステリの技法を実例とともに解説し、第四章では『世界でいちばん透きとおった物語』に使ったトリックと構成を完全なネタバレで明かした。
ハルキ文庫から『シェアハウスの群狼』
未来を視る力で賭け麻雀をして暮らす青年が、警視庁の刑事・黒谷に助けられ、特殊能力を持つ男たちと同居しながら男子高校生の連続殺人事件に関わる長編ミステリ。
電撃文庫で『楽園ノイズ8』を刊行
7月10日、2020年に始めた『楽園ノイズ』の第8巻が出た。第7巻は2025年6月の刊行。イラストは第1巻から春夏冬ゆうが続けて担当している。