本記事は卓球用具について、公開情報にもとづき一般的な種類・仕組みを紹介する解説記事です。特定メーカー・特定商品の購入を強く推すものではありません。文中で紹介する商品リンクの一部にはアフィリエイト(PR)を含みます。
握り方(グリップ)の2大流派
卓球のラケットは、大きく分けてシェークハンドとペンホルダーの2種類の握り方に対応した形をしている。まずこの違いを知ると、以降のブレード・ラバーの話が理解しやすくなる。
以降、この3つの部分の名前(ブレード・グリップ・ラバー)を使って説明していく。
シェークハンド
握手をするように握る
グリップ(柄)が左右対称の平たい形(図)で、表と裏の両面にラバーを貼るのが基本。裏面(バック面)も同じ面でそのまま打てるため、バックハンドの打球がしやすい。現在、世界のトップ選手の主流はこちらとされる。
ペンホルダー
ペンを持つように握る
グリップが丸く短い形(図)で、表面だけにラバーを貼るのが基本(後述の中国式は裏面にも貼れる)。手首を使った小回りの利く操作が持ち味とされる一方、バック側の打球はシェークハンドより工夫が必要になりやすい。
シェークハンドのハンドル形状(FL/ST/AN/CO)
| 表記 | 呼び方 | 特徴 |
|---|---|---|
| FL | フレア | 先端が広がった形。手にフィットしやすく、最も普及している定番 |
| ST | ストレート | まっすぐな形。握る位置を変えやすく、手が大きい人にも合う |
| AN | アナトミック | 波型にくびれた形。手のひら全体にフィットする |
| CO | コニック | 円錐状。FLとSTの中間的な形 |
商品名の末尾についているFL・STはこのハンドル形状の略。たとえば早田ひなの契約モデル「Hina Hayata H2」も、ST・FLの2タイプを別売り展開している。
ペンホルダーにも3系統ある
| 系統 | 板の構造 | ラバー | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 日本式ペンホルダー | 単板が主流(コルクのグリップ) | 表面のみ | 日本・韓国・台湾などで普及。バック側は手首をひねって同じ面で対応する |
| 中国式ペンホルダー | シェークハンドと同様の合板が主流 | 表・裏の両面に貼れる | 中国を中心に普及。裏面にもラバーを貼れるぶん、シェークハンドに近い感覚でバック側を処理しやすいとされる |
| 反転式ペンホルダー | 両面にコルクのグリップ | 表・裏の両面に貼れる | ラケットを反転させて裏面も使う日本式の発展形。片面に攻撃用の裏ソフト、もう片面に守備用の粒高などを貼る選手が多い |
前述のFL/ST/AN/COはシェークハンド専用の分類で、日本式ペンホルダーのコルク部分には「角型・角丸型・丸型」という別の形の違いがある。どれが優れているというものではなく、握りやすさ・打ちやすさの好みで選ばれる。
ブレード(ラケット本体)の構造
ラケットの板の部分は「ブレード」と呼ばれる。ブレードは、木材を何枚重ねているか(枚数)と、特殊素材を挟んでいるかどうか(有無)の2つで決まり、この2つは別々に選べる。だから「5枚合板なのにカーボン入り」ということもある。(単板だけは、そもそも層が無い特別なタイプ。)断面(横から見た層の重なり)を図にすると違いがつかみやすい。
① 木材の枚数
5枚合板
木材5枚を重ねた構成(図は層のイメージ)。軽くしなりがあり、ボールの感触を掴みやすく回転をかけやすいとされる、扱いやすいタイプ。
7枚合板
木材7枚構成(5枚合板より層が1枚1枚薄い)。5枚合板より重く硬くなりやすい分、弾みと威力が出やすいとされる。
木材枚数は3枚・9枚のものもあり、5枚・7枚はその代表例。
② 特殊素材を挟むか
なし(木材のみ)
①の枚数だけで構成されたシンプルな作り。しなりが出やすく、扱いやすいとされる。
あり
木材の層の間にカーボンやケブラー等の素材(図の濃い層)を挟んだタイプ。軽くて硬く、飛距離とスピードが出やすい。枚数とは別に決まる(例: 早田ひな「Hina Hayata H2」の「5+2」表記は、木材5枚+特殊素材2層の意味)。
特殊素材はカーボン以外にも何種類かあり、木材のどこに挟むか(外側=アウター、内側=インナー)でも打球感が変わるとされる。
例外:単板
単板
木材1枚から削り出すタイプ(層が無い1枚もの)。木材の枚数や特殊素材の話にはあてはまらない、別枠の作り方。日本式ペンホルダーや、守備的な戦型「カットマン」向けのラケットに多い。
「重い・硬い=上級者向け」ではなく、自分に合うかで選ぶのが基本。用具店の試打会で確かめるのがおすすめ。
ラバーの4種類
ラバーの表面には小さなブツブツ(粒)があり、それが外を向いているか内側に隠れているか、高さはどれくらいかで4種類に分かれる。
「表ソフト/裏ソフト」の表・裏は、この粒(ブツブツ)が外を向いているか、スポンジ側に隠れているかの話で、ラケットの「フォア面・バック面」(次章)とは別。4種類ともフォア面・バック面どちらに貼ってもよく、決まりはない。攻撃的な選手は両面とも裏ソフト、守備的な選手はバック面だけ粒高にする、など自由に組み合わせる。
裏ソフト
特徴:表面はツルツルの一枚板(つぶつぶは内側に隠れていて、触っても凸凹しない)。ボールがよく食いつき、一番回転をかけやすい
向いている人:強い回転で攻める「ドライブ」中心の人。初心者にも定番
表ソフト
特徴:表面につぶつぶ(イボイボ)が並んでいて、触るとブツブツする(裏ソフトのツルツルと逆)。接地面積が小さい分ボールが当たってすぐ離れ、スピードが出る
向いている人:速い攻撃やサービス・ブロックで押していきたい人
粒高
特徴:表ソフトと同じつぶつぶだが、もっと長く突き出ている(触るとさらにゴツゴツ)。細い粒が倒れることで、相手のかけた回転を打ち消さずに返せる
向いている人:粘り強く守り、相手のミスを誘いたい人
アンチ
特徴:表面は裏ソフトと同じツルツルの一枚板だが、素材そのものの摩擦をあえて弱くしてあり、相手の回転の影響を受けにくい
向いている人:回転を封じて主導権を握りたい人(使用者は少数派)
裏ソフトは中でも種類が多く、よく弾んでスピードが出る「テンション系」、回転を重視した「粘着系」など、性格の違うものにさらに細かく分かれる。
フォア面とバック面でラバーを変えるのはなぜ?
シェークハンドや中国式ペンホルダーの選手は、フォア面(利き手側で強打する面)とバック面(つなぎ・守備で使う面)に、あえて違う種類のラバーを貼ることが多い。役割が違うためだ。
フォア面
攻撃・決め球の面
強い回転とスピードを両立させたい面。回転をかけやすい裏ソフトが選ばれることが多い。
バック面
つなぎ・守備の面
安定した返球や、相手のミスを誘う変化を重視。表ソフトや粒高が選ばれることもある。
なぜラバーは片面が黒、もう片面が赤(or 明るい色)なのか
フォア面(赤)
バック面(黒)
同じ1本のラケットの、表と裏の面をそれぞれ横から見たイメージ。実際に打つときはどちらか一方の面しか見えない。
国際卓球連盟(ITTF)のルールで、両面にラバーを貼る場合は片面を黒、もう片面をボールと明確に区別できる色にすることが義務づけられている(かつては赤限定、2021年のルール改定以降は青・ピンク等も可)。
これは相手選手や審判が、どちらの面で打球したかを見分けられるようにするための規定。
色そのものに性能差があるわけではない。
初心者と経験者で選び方はどう違う?
用具選びは、卓球を始めたばかりか慣れてきたかで変わる。
| ブレード・ラバー | 考え方 | |
|---|---|---|
| 初心者 | 木材5枚合板+裏ソフト(フォア・バック同じ種類でよい) | カーボンなどの特殊素材は弾みすぎてボールの感触を掴みにくいため避け、扱いやすい基本形でまず打つ感覚を覚える段階 |
| 慣れてきた人・上級者 | 攻撃型・守備型などプレースタイルに合わせてブレード・ラバーを調整。フォア面・バック面で違う種類を使い分ける | 得意な攻め方・守り方が見えてくると、そこに合わせて細かく最適化していく段階。契約選手は契約メーカーの用具から選ぶ |
実例で見る:選手のプレースタイルと、初心者・学校向けの定番
分類だけでは実感が湧きにくいので、実際の選手のプレースタイルと用具の組み合わせ、そして初心者・学校の部活動でよく選ばれる定番の組み合わせを見てみよう。
選手の実例
| 選手 | グリップ・ブレード | プレースタイルとの関係 |
|---|---|---|
| 早田ひな | シェークハンド。Nittaku契約選手向けモデル「Hina Hayata H2」は、木材5枚にケブラー®とカーボンを組み合わせた素材「PKC」を挟んだ5+2構成 | フォアの強打だけでなく、台から下がっての一発大型ドライブもこなすパワフルな両ハンド攻撃型。大きめのブレード形状で、回転・スピードに加えて安定感も両立させた設計とされ、上の分類でいう「5枚合板+カーボン入り」の実例にあたる(紹介記事: Hina Hayata H2) |
| 張本智和 | シェークハンド。Butterfly契約選手向けモデル「張本智和 インナーフォース ALC」は、アリレートカーボンを木材の内側に挟んだ「インナーカーボン」構成 | 台に張り付いて速いタイミングで攻め続ける前陣でのプレーに向け、弾みすぎを抑えつつボールをしっかり掴む打球感を狙った組み合わせとされる |
初心者・学校の部活動での定番
初めて買うなら、ラバーがあらかじめ貼られた「貼り済みセット」が定番。届いてすぐ使える。
上達してブレード・ラバーを自分で選んで組み合わせたくなったら、別々に購入して自分(または用具店)で貼り替える。ラバーは消耗品でブレードより先にすり減るため、続ける場合は遅かれ早かれこちらに移行することになる。定番の組み合わせは「シェークハンド・フレア(FL)ハンドル・木材5枚合板・裏ソフトラバー」で、下のような組み合わせが広く選ばれている。
Supported by Rakuten Developers
これらは「よく選ばれている」定番の組み合わせを紹介したもので、必ずこれを選ぶべきという意味ではない。自分の体格・利き手・プレーの好みに応じて調整するのが基本で、実際に試打してから選ぶのがすすめられている。
よくある質問
初心者はシェークハンドとペンホルダーどちらを選ぶべきですか?
どちらが優れているというものではなく、握りやすさの好みで選ばれる。両面とも同じ形で打てて扱いやすいシェークハンドを勧める体験会・部活動が比較的多いとされるが、絶対のルールではない。実際に握ってみて決めるのがすすめられている。
ラバーは貼らなくてもいいのですか?木の面のままでは打てませんか?
基本は両面(フォア面・バック面)ともラバーを貼る。とくにシェークハンドは両方の面で打つのが普通なので、両面に貼るのが標準。ルール上も、実際に打つ面には必ずラバーが必要で、木の生地のまま打つことは反則(失点)になる。例外は、裏面をそもそも使わない日本式ペンホルダーのような持ち方で、この場合だけ裏面にラバー無しでもよいが、その面は光らないつや消しの色(無光沢)にする決まりがあり、その面で打つことはできない。
ラバーは両面とも同じ種類を貼ってもいいのですか?
貼ってもよい。ただし色は片面を黒、もう片面をボールと区別できる色にするルールがあるため、同じ種類のラバーでも色違いの製品を選ぶ必要がある(理由は次のFAQを参照)。
裏ソフトと表ソフト、回転がかかりやすいのはどちらですか?
裏ソフトの方が回転をかけやすいとされる。表面が平らでボールとの接地面積が大きく、摩擦力が強いためだ。表ソフトは逆に接地時間が短く、スピード重視の攻撃球やサービスに向くとされる。
学校の部活と社会人サークルで、使える用具のルールは違いますか?
細かい規定は大会・リーグごとに異なるが、学生・社会人を問わず国内の公式戦ではITTF(国際卓球連盟)の公認マークが付いたラケット・ラバーの使用が前提になっていることが多い。購入前に所属する大会の用具規定を確認するのがすすめられる。
ラケットのラバーが赤と黒に分かれているのはなぜですか?
相手選手や審判が、どちらの面で打球したか見分けられるようにするための規定(詳しくは4章)。色そのものに性能差があるわけではない。
プロ選手は用具をずっと同じものを使い続けるのですか?
契約メーカーの範囲内で、ブレードやラバーの組み合わせを細かく調整することがあるとされ、必ずしも一台をキャリアを通して使い続けるとは限らない。用具の変更は選手の判断や成長段階によって異なる。
参照したソース(17件)
- 基本的なグリップ|Nittaku(ニッタク) 日本卓球(公式)
- ペンホルダー - Wikipedia
- 卓球ラバーは3種類!ラバーの種類別におすすめラバーを一挙紹介|用具紹介|VICTAS卓球用品メーカー(公式)
- 卓球用具・用品の規定|卓球のルールと由来|Mingles
- 卓球ラケットが赤と黒の理由|性能差とルール改正の歴史を解説
- 卓球ラケット〜5枚合板と7枚合板の違い〜|卓球の物理学
- Hina Hayata H2|Nittaku(ニッタク) 日本卓球(公式)
- ラケットの構成を知る|ラケットの選び方|卓球初心者ガイド|バタフライ卓球用品(公式)
- 【卓球】裏ソフトラバーの種類と選び方|高弾性・テンション・粘着ラバーを徹底解説
- 張本智和 インナーフォース ALC|製品情報|バタフライ卓球用品(公式)
- マークVの特徴と選び方を徹底解説!初心者に最適な理由|サワキュウメディア
- よくあるご質問(FAQ):ルール|日本卓球協会(公式)
- 徹底解剖!ペンホルダーの種類について!|目白卓球倶楽部
- 【はじめて卓球部顧問になったあなたに】初心者セットを買っていいですか?|卓球メディアRallys
- 早田 ひな|世界卓球2025|テレビ東京
- Vol.1 ヤサカラバーの象徴 MARK V|株式会社ヤサカ(公式)
- 驚異的なロングセラーラバー、56年間君臨する元祖モンスター『マークV』|卓球王国WEB
最終更新 2026-08-22